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ファン拡大にはタッチポイントを広げよ

スポーツ興行は、基本的に人気商売である。特にBtoC、すなわち企業が一般消費者を対象にビジネスを行う形が中心となることが多い。
もちろん、企業相手のBtoBビジネスも存在するが、その成果も結局はチームの成績や一般消費者からの人気に左右される。

そのことを考えると、潜在的なファンがそのスポーツ興行に触れられる機会、言わばタッチポイントを増やしていかなければならない。

ではタッチポイントをいかにして増やすか?考えてみたい

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メディアによるタッチポイント確保

メディアはスポーツにとって重要である。
多くのメディアがスポーツと共に成長しており、いわば運命共同体ともいえる。

まずは日常に侵入し、ファンがそのスポーツ・イベントに触れる機会を作らねばならない。
新規も既存もまずは日常的に触れられる機会が必要である。

テレビ

個人的な考えであるが、一番効果があるのは地上波テレビ中継と言える。テレビはオワコンだなんだと言われているが、現在でもゴールデンタイムで放送さえすれば視聴率5%程度は狙える。5%とはいえ、日本の人口で割れば600〜700万人だ。600万人にしっかりとそのコンテンツを届けられるというのは宣伝という面でかなり大きい
ローカル放送でもその効果は大きく、ローカル放送だとより地元チームの中継に注目が集まり、全国放送だと視聴率に苦戦しているJリーグでも地方ローカル放送だと高視聴率をマークすることが多い。

しかし、地上波は多くとも7局程度しかなく、ゴールデンタイムの枠はまず取れない。取るには人気と太いスポンサーが必須なため、どちらかといえば、人気な競技が更に人気になるための施策である
だが、早い段階から関係を構築し、放映してもらえるように努力するケースもあり、地方では早くから協力関係を密にし、試合中継を実施できたという事例もある。

スポーツが報道番組や情報ワイドショーで取り上げられることもあるが、やはりその効果は大きいが、歪曲されて伝えられたり、単にコンテンツとして消費されるだけのこともあり、良いかどうかは評価が難しい。

では、衛星放送やケーブルテレビではどうか?確実に全国に届けることは可能だが、無料BS放送はグッと視聴者は減り、有料CS放送に至っては600万人しか視聴できる人がおらず、数万人見ていたら御の字だ。また、地上波放送と違い、選局でもBS・CSに変更する行程を踏まなければならず、ザッピングしていたらたまたまやってて見たらハマったなんて可能性も低く、新規のファンのタッチポイントは狭い。
地上波でなければテレビに非ず。そんな状況が日本のテレビ業界である。

SNS

近年ではSNSを活用してタッチポイントを広げるチーム・リーグが多い
テレビはそもそも放映されないことも多いが、そうした懸念が無く、発信も自らの考えを歪曲なしに日本を超えて世界に伝えられるため、宣伝手段として有効である
例えば、Bリーグの川崎ブレイブサンダースは、マスメディア露出が少ないことから、YouTube活動に注力し、オンラインでの新規ファン開拓のタッチポイントとして活用している。また、パリーグやRIZINなど、地上波全国放送が少ないリーグ・団体ではこうしたSNS活動に注力している。

また、一度”バズる”と、新たなファンを巻き込みながらさらにその輪を成長させることも可能だ。例えば、Jリーグ・栃木シティFC所属の田中パウロ淳一はJリーガー兼人気のインフルエンサーとして二足の草鞋で活動しており、J3のスタジアムに多くのファンとスポンサーを呼び込み、プレーでそのファンを根付かせるということも行っている。
これは田中パウロがSNSでスタジアムの広告看板スペースを募集すると、わずかひと月で全部埋まったということからも裏付けされるのではないか。

そのチーム・リーグの魅力をSNSを通じて広く発信することで宣伝でき、継続的な発信で流動的なファンの確保ができる他、選手の「人間性」や「面白さ」が伝わるコンテンツを制作し、スポーツ以外のカテゴリーでも投稿がリーチできるようにすることも可能だ。
また、コメント機能を使えば、ファンとの双方向の交流も可能であり、より深い関係性を作ることも可能だ。

さらに、ファンがSNSにそのチームの様々なことを投稿することがあるが、これもまた、人々に発信されて従来のファン以外の目に留まる可能性もあり、自ら施策を行わずとも、宣伝効果が生まれるケースもある。

だが、SNSは自由な分、対抗馬が多い。魅力的なコンテンツは秒単位で増えており、Xでは毎分約35万件の投稿が、Youtubeでは2019年の時点で毎分500時間以上もの動画が投稿されており、SNSでの情報量はすでに天文学的数値と言えよう。そのような中だとファンのタッチポイントは埋もれてしまうことも多い。
また、暴走すると炎上などの憂き目に遭うこともある。既存のファンのことを考えなかったときに特に起きやすい。

その他

それ以外にも新聞や雑誌、ラジオ、映像ソフトなどがあるが、現代の日本においてはシェアの低下などによって、あまりタッチポイントとして有効ではない。
とはいえ、かつては新聞やラジオで取り上げられることでそのスポーツの宣伝となっていた時期もあり、DVDの発売やレンタルでその競技のことを知るといったケースもある。

現在でも新聞や雑誌を隅から隅まで読む人も少なくなく、ラジオもドライバーや中高年を中心に聞かれているため、そのメディアで取り上げられるとそのチームや競技を知ることもあるため、悪いキャンペーンとは言えず、金銭や余暇が多い高年齢層をターゲットにできるため、収入強化にもつながる。

地域密着

地域との交流はスポーツチームにとって重要である。

地域住民を大事にし、根差した活動をすれば、「おらが町のチーム」として地域を巻き込んだ活動ができ、よりローカルに愛されたチーム作りも可能である。

様々な場所への訪問

特に強力なのが様々な場所への訪問だろう。
多くのスポーツチーム・団体は、社会貢献活動の一環として幼稚園や小学校、病院や老人ホームといった公共的な施設に訪問することが多い。

そこでは地域住民との交流が図られるため、ファンもそうじゃない人もその競技に触れることになるが、タッチポイントとしては強力だろう。その競技が分からなくともスポーツ選手と交流できるという経験はその人に大きな影響を与える。特に、それが地元且つ安価でその選手の姿が見に行けるとなれば、その競技場に集う人は少なくないはずだ。

たとえ、そのチームを見に行かなくともその競技のことを知ることには変わりはないため、潜在的なファンを掘り起こすことが可能になる。

だが、こうした訪問活動は選手がその場所を訪れるという関係上、練習や試合などの合間に行われるため、試合のクォリティを保つためにも乱発は不可能だ。

シティドレッシング

地域をチームのロゴやシンボルで染めていくことも大切だ。
例えば、地元の駅やバス、電光掲示板、街灯などにチームカラーやロゴをあしらう活動だ。時には商店街などにロゴを多く張り付けることもある。

これはシティドレッシングと呼ばれ、そのチームのシンボルを生活空間に浸透させるとすることで、住民が無意識のうちにチームに触れる機会を増やす手法である。(画像は千葉市内のモノレールに実施した事例。)

これは、試合日やイベント開催時だけでなく、日常の通勤・通学・買い物の「背景」としてチームの存在を刷り込む効果がある。これにより、チームへの愛着や帰属意識が育まれ、「おらが町のチーム」としての認識が地域全体に浸透しやすくなる。

だが、これはチームの存在自体を知らしめるには決して有効とは言い切れない。単なる”図形”としか思われない可能性もあり、効果が無いパターンも考えられる。だが、その”図形”を使っている何らかの団体が存在していることは街の人々に伝わるため、その地に住む万人に伝えることは可能だ。

招待券配布

その名の通り、チケットを配布するという行為だ。

地域の交流拠点や学校などの公共施設などを対象に試合のチケットを配布し、見に来てもらうという方法だ。
もちろん見に来てもらえるため、効果は大きい。観戦までのハードルの一つであるチケット購入と費用が軽減されるため、あとは見に来てもらうというところまで簡単に持っていける。

だが、もらっても見に来てもらえないということもありうるため、天候などによっては効果が薄れたりすることもある。また、招待券の乱発は毎回チケットを購入するヘビー層からの反感を買うため、規模感を間違えないようにしなければならない。

チーム強化

ファンを拡大するにはそもそも強いチームを作れば良い話でもある。

チームが強いとメディアや口コミで広まる機会が広まり、それを聞いた近隣住民が会場に駆けつけるということが多い。

実際、弱いチームには誰も見向きもしない。
2011年の横浜ベイスターズは断トツの最下位であり、観客は数えるほどしかいない試合もあるなど、あまりにも少なかった。その翌年にDeNAに身売りしたが、後のベイスターズが大人気になったのは効果的な投資や宣伝の強化以上にチームが強くなったことが要因でもあり、CS争いした2013年と前半戦首位だった2015年にそれぞれ年間観客動員が300万人増えたという過去がある。

なぜ弱いチームから観客が減るのか。 おそらく、弱いチームはファンに「負け」というストレスをかなりの頻度で与えるため、ファンがそのストレスを避けたいがために離れてしまうという理由があるのではないかと考える。
また、昇降格があるリーグでは、有名選手がいなくなるためにライト層のファンが離れるという理由も追加されてしまう。

「勝つことが最大のファンサービス」という言葉が野球界ではあるが、まさしくその通りであろう。この言葉は独り歩きした言葉であるが、過剰なファンサービスを前にこの言葉を持ってくる野球ファンは多い。

最後に

近年、プロスポーツの人気は相対的に高まっている。各リーグ・チームが最多観客動員数を続々と更新しており、勢いに乗っている。コト消費の栄盛や推し活文化の多面化が影響を与えていると考えている。

だが、他ジャンルの隆盛などの障壁もあるうえ、インフレや人口減少などの社会的要因といった問題もあって新規ファンは獲得しにくい状況下ともいえる。
もはや新規ファン獲得の敵は他球団・他競技よりもディズニーやユニバーサルスタジオの他業種や日本を取り巻く社会構造であると私は唱えたい。

そんな中でも新規ファン獲得はしなければならない。これが10年限定で活動するグループであればまだしも、数世紀続くことが可能なスポーツチームだと新規ファンがいなくなることはチームとしての死を意味する。

数年後には苦境に立たされるかもしれないが、何かの社会世論が変わってさらなる人気を獲得しているかもしれない。そのためにも今からファンを獲得し続けなければならない。

参考資料

川崎ブレイブサンダースの目指すスポンサーシップの形(前編)ーデジタルで抜きん出たクラブへー(スポーツ・スポンサーシップ・ジャーナル)

集客に困っている、すべてのスポーツ関係者へ(note「mission sports・ミッションスポーツCEO満田哲彦」)

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