※以前、noteで公開した記事「三遠ネオフェニックスは墜ちてしまうのか?」に、2025年春時点での新たな情報を加えたものです。
2026年よりB.LEAGUEは新たなリーグ体制となり、チームの強さよりも企業としての強さを重視する構造となった。
2024年秋に新構造における参入リーグの審査が行われ、新たな一部リーグとなる「B.LEAGUE PREMIER」は同年11月時点で22チームが加わることとなったが、そのうちの1チームにとんでもない問題が起きた。
愛知県豊橋市を本拠地にする三遠ネオフェニックスだ。
新リーグと新アリーナ
ここで「B.LEAGUE PREMIER」の参入条件を振り返る。
- 売上高12億円以上
- 入場者平均4,000名以上
- 新基準のアリーナの確保
以上、3つの基準があった。
1,2は現B1のほぼすべてのクラブ、現B2の数クラブが満たしていた。
ネックとなったのはアリーナの確保だ。とはいえ、多くのクラブが行政や親会社の力のもと、多くのクラブが基準を満たしたアリーナを確保した。
B1に所属している、三遠ネオフェニックスもまたそのすべてを満たし、「B.LEAGUE PREMIER」の参入条件を満たし、2026年シーズンの開幕を待っていた。
そんな中、豊橋市長選挙においてとんでもないことが起きた。
新アリーナ建設計画の契約を解除や中止を一番の公約に掲げた長坂尚登候補が当選した。
新アリーナ推進派の票が見事なまでに割れてしまったそうだ。
これに伴い、三遠ネオフェニックスの「B.LEAGUE PREMIER」の参入に暗雲が立ち込めてしまった。
市長当選とアリーナ計画
長坂尚登市長は、内閣官房より地域活性化伝道師に任命され、各地で地域振興の推進に携わり「地域活性化」や「持続可能な地域づくり」をテーマに活動を展開した。
政治のこと、特に地方自治については地元でない者や明るくない者が分からない者がやいのやいの言うべきではない。
しかし、ここで新アリーナ計画を中止するとなれば、市外・県外からのインバウンドはなくなり、かつて活動テーマであった「地域活性化」の重要なピースはなくなるだろう。
確かに、アリーナの建築費や運営費を市が出してそれ以上のメリットがあるのか?
スポーツ好きとしては「大いにある」と言いたいが、事例によって異なるだろう。特に愛知県内には名古屋にてアリーナの建設が進んでおり、三河安城にも新アリーナ計画が進んでいるため、いくら新幹線駅が3つあるとはいえ、イベントというパイの奪い合いになってしまうかもしれない。
市政にとってはこういった施設は慎重にならざるを得ない節はある。
その状態が続く中でも、三遠ネオフェニックスは強さを見せつけ、2年連続の地区優勝を果たした。2017-18シーズン以降低迷が続いていた中で、突如として黄金期がやってきた。
しかしながら長坂市長は、新アリーナ建設計画に待ったをかけ続けており、豊橋商工会議所の会頭の非難や13万人超のアリーナ計画継続の署名などの動きがあったが、アリーナ計画の動きはない。
市長側と市議会側の対立も激しく、市議会は「契約解除は市議会の議決が必要」とする条例を制定し、独断でのアリーナ計画中止を阻止。しかし、長坂市長は、改正の取り消しを求めて名古屋地裁に提訴するなどしている。それ以外にも2025年3月に、市長への問責決議案が可決されるなどしており、豊橋市は揺れている。
まとめ
アリーナを建てれば波及効果により経済効果は一定以上は帰ってくる。その一方でアリーナを建てることで費用が嵩むことは明らかだ。
果たして三遠ネオフェニックスは2026年にどうなるのか。今後の豊橋市の舵取りを待ちたい。
参考資料
東海テレビ「現職ら破る…豊橋市長選挙 新人で元市議の長坂尚登氏が初当選 新アリーナ建設計画中止訴え支持集める」https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20241111_37289
メーテレ「「新アリーナ計画反対」掲げて初当選の長坂尚登氏に当選証書 愛知・豊橋市長選挙」https://www.nagoyatv.com/news/?id=027312
NHKニュース「愛知 豊橋 屋内施設建設で市長と議会が対立 市長が議会を提訴」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250422/k10014786611000.html
東愛知新聞「【豊橋新アリーナ】計画解除に豊川の竹本市長「長坂市長に働きかけたい」 豊橋商議所は非難「看過できない」」https://higashiaichi.jp/news/detail.php?id=2308
中日新聞「豊橋の新アリーナ「継続」に署名13万人、市民団体が議会提出 長坂市長「コメント控える」」https://www.chunichi.co.jp/article/994931
CBC news「豊橋新アリーナ計画 “契約の解除は議決が必要”の条例案可決 住民投票は行われず “計画反対”の市長に推進派が対抗」https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/1642401?display=1
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